デザインを始めてから文字の大切さを学んだものの「フォントってたくさんありすぎてどれから覚えれば良いかわからない!」と嘆いてる方もたくさんいるかと思います。
今回紹介するのは、世界中のデザイナーから愛されている”ド定番”のサンセリフ系(ゴシック系)のフォントをご紹介します!
フォントを学びたいならまず定番フォントから抑えておけば、実際のデザイン現場でもフォント選びで悩む時間を短縮できるはずです。
フォントはとても奥が深く、すべてを解説できませんが、簡単に各フォントの特徴や使用事例などを触りだけ解説しています。もしもっと学びたい方は、フォントの本を買ってみたり、調べてみたりすると、フォント沼の深みにハマりとっても面白いかなと思います!
まずは覚えておきたいド定番のサンセリフ体の欧文フォント
本記事で紹介しているフォントを実際にデザインで使用してみることで、フォントごとの癖や特徴などの理解が深まります。パソコンのOSによっては、入っているフォントが違ったり、一部有料フォントもあるので、すべては利用できないかもしれませんが、フォント名だけでも覚えておいて損はないはずです。
もしデザイン系の制作会社や事務所に所属している方は、会社のパソコンには入っているかと思います。もし無ければ上司や上長などに相談して会社にフォントを買ってもらいましょう!
(Google Fonts/Adobe Fontsというサービスで、本記事で紹介しているフォントに似せて作られているフォントもあるので、「使いたいけど使えない‥」という方は、フォントサービスで探してみても良いしれません。)
「セリフ体」と「サンセリフ体」の違いとは
欧文フォントは大きく分けると「セリフ体」と「サンセリフ体」の2つに分かれます。大きな違いとしては、文字の先端にある『ウロコ』と呼ばれる飾りの有無です。
「セリフ体」にはウロコがあり、「サンセリフ体」にはウロコがありません。
和文フォント(日本語フォント)でいうところの「セリフ体」が「明朝体」、「サンセリフ体」は「ゴシック体」に近いイメージです。
今回、紹介するのは、ウロコがない「サンセリフ体」の定番フォントをご紹介していきます!
【セリフ体】についてはこちらでご紹介しているので、合わせて参考くださいね。
デザイナーならまずは覚えておきたいド定番のセリフ体の欧文フォント!定番の「サンセリフ体」の紹介とあわせて、サービスロゴやブランドロゴの事例も紹介していますが、フォントをそのまま使用しているだけではなく、ベースフォントとして使用されてデザイナーが調整してロゴが作られています。そのため、掲載しているロゴはベースフォントとして使っているのではないかという事例紹介になりますので事前にご了承ください!
Helvetica(ヘルベチカ)
Helvetica(ヘルベチカ)は、『欧文フォントの王様』というぐらいド定番フォント。世界中で1番使用されているフォントではないかなと思います。
デザインを初めたら、まずはHelveticaを使ってグラフィックを作ってみる!
数多くの企業やブランドでも使用されており、癖のないベーシックなフォントです。日本語フォントのヒラギノや新ゴと相性が良いので、日本のデザインでも多く使用されているのを見かけます。よくみると身の回りHelveticaで囲まれています。
「困ったらとりあえずHelvetica」ってぐらい汎用性の高く使いやすいフォントです。
簡素で落ち着いた書体でありながら説得力に富む力強さが特長で、用途を選ばない幅広い汎用性がある。現在最も使用される書体の一つとなっているほか、出版や広告の業界では必要不可欠なフォントとして知られる。(引用:wikipedia)
Futura(フーツラ・フツラ)
Futura(フーツラ・フツラ)は、正円、三角形、四角形をベースとして単純に幾何学的に構成されたフォントではなく、視覚的配慮を計算され設計されたジオメトリックサンセリフです。
(ジオメトリックサンセリフとは、直線や円弧など幾何学的なデザインで構成されているサンセリフ体と呼ばれます。サンセリフの中でもさらに細分化されているんですね。)
O(オー)とかほぼ正円、A(エー)やV(ヴイ)は鋭角な三角形になっていたり、一文字づつみていくととっても特徴があるフォントになっています。読みやすさ(視覚的配慮)のための設計になっているので、Futuraも非常に人気のあるフォントです。
VUTTON(ヴィトン)のようなラグジュアリーなブランドから、Supremeのようなストリートなブランドまで使わていますが、字間の余白の使い方によって印象がガラっと変わるところがFuturaのすごいところ。
Futuraとはラテン語で「未来」(英語の “future” に相当)の意。ジオメトリック・サンセリフの一種で、幾何学的な造形が特徴的である。現在でもよく用いられているサンセリフのひとつ。(引用:wikipedia)
DIN(ディン)
DIN(ディン)の特徴はなんといっても「直線的」です。曲線も、機械的に結んだような幾何学的な形状をしています。(個人的にはDINの数字がとっても好きで、日付表記や金額表記などによく使用しています)
「UNIQLO」ロゴや「TOKYO2020」のロゴもDINのフォントをベースに考えられているようです。
「DIN」というのは「ドイツ工業規格(=Deutsches Institut für Normung)」の略称で、もともとは工業製品の型番などの表記を標準化することを目的に、1930年代につくられた書体です。そのため、ドイツでは身の回りの多くのものに使われている書体で、わかりやすいものだと、高速道路の行き先表示の看板や、マンホールのふたなどが挙げられます。
http://type-glasses.jp/culture/interview_kobayashi.html
Optima(オプティマ)
Optima(オプティマ)は、ヘルマン・ツァップ氏によってデザインされたサンセリフ体。
イタリアのサンタ・クローチェでみかけた碑文にインスパイアされ制作されたフォントです。
AesopやLUMINEなど事例を見てみると、エレガントな高級感や女性らしさを感じるラグジュアリー感があるとっても素敵なフォントです。女性向けのデザインやブランドで使用されているのをよく見かけます。
他のサンセリフ体とは異なり、縦線と横線の太さが異なり、縦線のほうが太い。そのため、エレガントさとシンプルさを兼ね備えた独特の美しいフォルムにより愛されている。(引用:wikipedia)
Avenir(アベニール)
Avenir(アベニール)は、のちほど紹介する『Univers』や『Frutiger』もデザインした書体デザイナーAdrian Frutiger(アドリアン・フルティガー氏)が、1988年に制作したジオメトリックサンセリフ書体です。
「Futuraに似ている」と言われていますが、鋭角などが無くなった柔らかい・優しい印象になっている。
フランス語で未来という意味をもつAvenir(アヴェニール)は、同様にラテン語で未来をあらわすFuturaの対抗馬としての意識のもと製作されたそうです。
Univers(ユニバース)
Univers(ユニバース)は、先ほど紹介した書体デザイナーであり、Adrian Frutiger(アドリアン・フルティガー氏)が、1957年に制作した書体です。
Helveticaと比べてエレガントでより近代的、洗練されたモダンな印象のある書体です。Universも、ザ・定番のベーシックな欧文フォントであり、現在でも人気フォントの1つです。
スイス国際航空では、コーポレート・タイプとして採用されているほどベーシックなフォントです。
エレガントかつ合理的なスタイルが特徴。多くのシチュエーションで利用されてきた。スイス インターナショナル エアラインズやドイツ銀行、日本国内の企業では三洋電機などがコーポレート・タイプとして利用している。(引用:wikipedia)
Frutiger(フルティガー)
Frutiger(フルティガー)も、Adrian Frutiger(アドリアン・フルティガー氏)によって制作された書体です。こちらは自身の名前を書体名にしたほど超有名書体です。
元は1960年代にフランスのシャルル・ド・ゴール空港の案内標識用に制作されたため、視認性が高く、優れているところが特徴的。日本でもJRや東京メトロなどの交通機関でも取り入れられています。
フランスのシャルル・ド・ゴール空港の案内標識として作られました。遠くから見たときの視認性に優れ、特に空港や駅などの案内用標識などに用いられるほか、印刷物でも幅広く利用されている。(引用:wikipedia)
Gotham(ゴッサム)
Gotham(ゴッサム)は、全体的に丸みを帯びた自然な幾何学的なフォルムと特徴のフォントです。
2009年のアメリカ大統領選挙でオバマ大統領がWebサイトやスローガンなどのデザインにGothamを使用したことで、一気に有名になりました。
元々はアメリカのメンズファッション誌「GQ」に依頼されて制作した書体で、GQの独占使用権が切れ、一般的に公開されたことで多くのところで使用されるようになりました。
(個人的に大好きなフォントの1つで、個人のアートワークは多用しまくっています)
Myriad(ミリアド)
Myriad(ミリアド)は、1992年にAdobeオリジナルフォントとして発表されたフォントです。
AdobeやApple製品で使用されていたので、見たことがある人多いのではないでしょうか。
少し長体になっておりスタイリッシュな印象で、個人的には小文字の「y」が好きです。
ミリアド (Myriad) は、サンセリフの欧文書体で、Frutiger(フルティガー) 模倣フォントの一つである。アップルやアドビシステムズなど、多くの企業のコーポレートフォントに採用されている。
Century Gothic(センチュリーゴシック)
Century Gothic(センチュリーゴシック)は、Futuraのような幾何学的なデザインが特徴のジオメトリックサンセリフです。
ITC Avant Garde Gothic(アヴァン・ギャルド・ゴシック)
Avant Garde Gothic(アヴァン・ギャルド・ゴシック)は、アメリカのハーブ・ルバリン氏(Herb Lubalin)が、 雑誌「Avant Garde」のロゴのためにデザインされたオリジナルのフォントです。
「adidas」や「Gillette」で使用されている見ているせいかスポーティな印象があります。
Avant Garde Gothicが人気の理由として、バリエーションが用意されていたり、リガチャ(合字)が使えることで、同じフォントでも違った表情を見ることができます。
Impact(インパクト)
Impact(インパクト)は、1965年にイギリスのデザイナーGeoffrey Lee(ジェフリー・リー氏)によって制作されたフォントです。文字幅が狭く長体&極太で作られているのが特徴なので、Impactが使用されていたら一瞬でわかるぐらい特徴的なフォントです。
人気フォントですが、重厚感がありフォント自身の主張が強いため、使い所が難しい。。
フォント名からデザインに取り入れた事例を調べるなら
「フォント名 + usage」 Googleで画像検索するとそのフォントを使ったデザイン事例やロゴがたくさんでてくるので、覚えておくと便利です!
フォントを漫画で楽しく学びたいなら「となりのヘルベチカ」
書体知識ゼロで悩む彼女の前に、擬人化された「ヘルベチカ」が現れ、彼女を書体の世界へと案内します。自分を「落ち着いてて信頼感があるって評価されている」と紹介するヘルベチカ。丸栖に「サンセリフ」の意味や、自分の関わった仕事などを教えてくれます。
上記で、紹介した有名な欧文フォントを擬人化させて、フォントの特徴や成り立ちを漫画で紹介してくれる。文字ばかりの本ではなく、漫画としてフォントを学ぶことができるので、フォント入門書としてはとってもオススメです!
となりのヘルベチカ- kindleフォントをもっと学びたいなら小林章さん
フォントをもっと学びたい方はフォントデザイナーの「小林章さん」が著書の本をおすすめします!
上記に挙げたフォントの歴史から、目的に応じてどのようなフォントを使用すれば良いか、などを細かく解説されており、とっても勉強になります。フォントを選ぶ基礎知識をしっかりと得ることができる本だと思います。
複数、書体に関する書籍を出版されているのですが、個人的にオススメしたい本は、この2冊です。
まとめ
世界中で使用されている定番フォントはまだまだたくさんあります。
定番になっているには理由があり、歴史があるので、欧文フォントを使いたい方・覚えたい方はまずは本記事で紹介したフォントから学んでいければ良いんじゃないかなと思います!
フォントの種類を覚えること・使うこともデザインが上手くなるために必須スキルだと思うので、ぜひ学んでみてくださいね。